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国語・古典(三重県高校入試)

次の文章を読んで、あとの各問いに答えなさい。

 

秋くるころの雨は、(1)きのふにかはりて、何となうさびし。(をぎ)のうはかぜ、()(やま)鹿(しか)の音なんど、月よりも身にしむ心地ぞする。つねにききなれしかけひの水の音までも、あはれふかくこそ。月の前の(むら)(さめ)もまたをかし。まいて、やや夜寒のころ鳴きからしたる虫の音の、雨の()()みにかすかなる声して、(まくら)ちかく鳴きよるもあはれなり。(2)この雨に木々もそめなんとおもへば、「(たけ)などもおひいでなん。(くり)もはやおつべし」などと、わらはべのものさびしげに、ともし火にむかひつついひいづるも、げにさまざまなり。

 

 

 

(注1) (をぎ)    水べに自生する野草の一つ。

 

(注2) ()(やま)   人里に近い山。

 

(注3) かけひ  ふしを抜いた竹などを地上にわたして水を引く(とい)

 

(注4) (むら)(さめ)   ひとしきり強く降って来る雨。にわか雨。

 

(注5) (たけ)    きのこ。

 

(一)傍線部分「きのふにかはりて」を現代かなづかいに改め、全部ひらがなで書きなさい。

 

(二)傍線部分「この雨に木々もそめなんとおもへば」とあるが、このとき作者は秋のどのような様子を思い浮かべているのか、わかりやすく書きなさい。

 

(三)この文章の内容について述べたものとして、最も適当なものを次の中から一つ選び、その記号を書きなさい。

 

ア、()(やま)鹿(しか)の音やかけひの水の音などを秋の景色とともに思い浮かべながら、視覚を中心にはたらかせて、これから迎える冬の厳しさを大胆に描いている。

 

イ、生命力のある()(やま)鹿(しか)の音や鳴きからした虫の音などに力強さを感じながら、聴覚を中心にはたらかせて、秋の早朝の情景を生き生きと描いている。

 

ウ、()(やま)鹿(しか)の音や鳴きからした虫の音などにそこはかとなく悲哀を感じながら、視覚を中心にはたらかせて、生命の尊さを切々と描いている。

 

エ、()(やま)鹿(しか)の音や聞き慣れたかけひの水の音などに趣を感じながら、聴覚を中心にはたらかせて、秋の雨の情景などを細やかに描いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解けましたか?それでは解答です。

 

(一) きのうにかわりて  (二) (例)秋の雨で木々が紅葉している様子。  (三) エ

 

 

 

【現代語訳】

 

秋が来るころの雨は、ちょっと前までと違って、何となくさびしいものである。萩の上を吹き渡る風、人里に近い山の鹿の声など、月よりも身にしみる気持ちがする。いつも聞き慣れているかけいの水の音までもしみじみと趣深いものだ。月が出る前のにわか雨もまた趣深い。まして、少し夜寒のころ、しきりに鳴く虫の音が、雨が止んだときにかすかな声で、枕の近くで鳴いているのも、しみじみとした趣がある。この雨で木々の葉も色づいているだろうと思っていると、「きのこなどがきっと生え出すだろう。栗ももう落ちるだろう」などと子供たちがものさびしげに、明かりに向かいながら言っているのも、実にいろいろでおもしろい。




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