国語・古典
次の文章は、「徒然草」の第八十八段である。これを読んで、あとの各問いに答えなさい。
ある者、道風が書ける和漢朗詠集とて持ちたりけるを、ある人、御相伝、浮けることには侍らじなれども、四条大納言撰ばれたる物を、道風(ア)書かむ
こと、時代や(イ)合はず
侍らむ。おぼつかなくぞと言ひければ、さ候へばこそ、(ウ)世に有りがたき物
には侍りけれと、いよいよ(エ)秘蔵しけり。
(注) 道風=書の達人 九六六年死去 四条大納言=和漢朗詠集を編集した人 九六六年生まれ
御相伝、浮けることには侍らじなれども=ご先祖からの言い伝えは、根拠のないことではございませんでしょうが
(一) ア、イの語句を、現代仮名遣いに直して、すべてひらがなで書きなさい。
(二) 「ある人」が話した部分を本文中から探し、最初と最後の三文字を抜き出して書きなさい。
(三) エ「秘蔵しけり」とあるが、だれが秘蔵したのか。本文中から抜き出して書きなさい。
(四) ウ「世に有りがたき物」について、次の各問いに答えなさい。
@ 「世に有りがたき物」とは、何をさしているのか。
本文中から、十字程度で抜き出して書きなさい。
A 「世に有りがたき」理由を、次のア〜エの中から一つ選び、記号を書きなさい。
ア 和歌の名人が編集したものだから イ 書くはずのない人が書いたものだから
ウ 先祖代々受け継いできたものだから エ 書の達人が書いたものだから
解きましたか?それでは解答です。
(一) ア かかん イ あわず (二) 御相伝(〜)なくぞ (三) ある者
(四) @ 道風が書ける和漢朗詠集 A イ
【現代語訳】
ある者が、道風が書いた和漢朗詠集だといって持っていたのを、ある人が、「ご先祖からの言い伝えは、根拠のないことではございませんでしょうが、四条大納言のお選びになった物を、道風が書いたというのは時代が合わないことでございます。疑わしいことです。」と言ったので、「そうであればこそ、世の中にめったにないものでございましょう」といってますます大事にしまっておいたということだ。