国語・古典(茨城県高校入試)
次の文章を読んで、下の(一)〜(二)の問いに答えなさい。
ある人、狗をいと、(ア)いたはりけるにや、その主人、外より帰りし時、かの狗、その膝に上り、胸に手を上げ、口の辺をねぶり廻る。これによつて、主人愛する事、いやましなり。
馬、ほのかにこの由を見て、羨しくや思ひけん、「天晴、我も(イ)かやうにこそし侍らめ」と思ひ定めて、ある時、主人、外より帰りける時、馬、主人の胸に飛びかゝり、顔をねぶり、尾を振りなどしければ、主人、これを見て、甚だ怒りをなして、棒をおつ取りて、本の馬屋に押し入れける。
その如く、人の親疎をわきまへず、我が方より馳走顔こそ、甚だもつて、おかしき事なれ。
(一) (ア)いたはり の読み方を現代かなづかいに直して、ひらがなで書きなさい。
(二) (イ)かやうに とあるが、どのような動作を指しているのか。上の文章中から二十五字以内で抜き出し、その初めと終わりの五字をそれぞれ書きなさい。(句読点を含む。
解けましたか?それでは解答です。
(一) いたわり (二) (初め) その膝に上 (終わり) ぶり廻る。
【現代語訳】
ある人が、子犬をたいそうかわいがっていたのだろうか、その主人が、外から帰ってきた時、その子犬が、(主人の)膝に上って、胸に前足をかけて、(主人の)口のあたりをなめ回した。このことによって、主人は(子犬を)愛することが、いよいよまさった。
馬がちらっとこの様子を見て、うらやましく思ったのだろうか、「ああ、私もこのようにしてみましょう」と思い決めて、ある時、主人が外から帰ってきた時、馬は、主人の胸に飛びかかり、顔をなめ回し、しっぽを振ったりしたところ、主人はこれを見て、たいへん怒って、棒を急いで手に取って(馬を)もとの馬小屋に押し入れた。
そのように、親しいか親しくないかの区別を考えず、自分の方から親しそうに振るまうのは、たいそう、こっけいなことである。